気持ちは分かりますが、
あまりに強引なやり方で、子供を取り戻すと、
その行為が未成年者略取罪に問われることになります。
逆に、子供を強引に奪われたのであれば、
被害届・刑事告訴しましょう。
こういう事例があります。
Aは、Bとの間にCが生まれたことから婚姻し
(いわゆるできちゃった婚)、生活していたが、
Bと口論の際、Aが暴力を振るうなどしたことから、
BはCを連れて実家に身を寄せました。
そこで、Aは、Cと会うこともままならないことから、
CをBの下から奪ったというものです。
最高裁まで争いましたが、Aは有罪となりました。
子供をとり戻す手段としては、以下の3つの手段が考えられます。
①相手と話し合って相手の了解を得て引き渡してもらう。
②子の引き渡し審判請求・仮処分
③人身保護法による子の引渡請求
①の方法が、費用もかからないし、
もっとも簡便・即効性ある手段であると考える方が、少なくないようですが、
実際に「渡せ」「渡さない」という状況の中で、
話し合って了解をとるというのは、至難の業です。
もっと問題なのは、ずるずると話し合いを続けていると、
後日、これでは埒があかないと審判を申し立てたときに、
裁判所が「現状をひっくり返すのはいかがなものか」
「(仮処分につき)緊急性はあるのか」などと
引き渡しの決定を出したがらなくなることです。
審判(仮処分)を申し立てたから話ができなくなるというものではないので、
一度話してみて、引き渡してもらえないことが判明した場合には、
審判を申し立てるのがいいと思います。
従前は、子の引き渡しを求めるには、
むしろ人身保護請求が利用されていました。
しかし、平成5年に最高裁判決が出されて以降は、
共同親権者による子の引き渡しの場合には、
「拘束者が幼児を監護することが、請求者による監護に比して、
子の福祉に反することが明白である」
という要件が必要とされているので、
少なくとも別居中の夫婦間における子の引き渡しに関しては、
上記仮処分が選択されることが多いです。